VCPCのワーキンググループ(WG)を作ってメンバー募集し,今年の7月から「PLCOR」の翻訳を始めている。各メンバーの翻訳分担範囲を決めて事前に訳してきてもらい,それをWGでレビューする形で進めている。
今月の10/17で第4回を数えたが,進捗はなかなかスムーズとは言えない。

英語の技術文書や資料の日本語訳を見て,不満を覚えた経験はどなたにもおありだろう。
「自分ならばこう訳すのに」と思うのだが,いざ自分がやってみると意外と難しい。PLCOR理解・翻訳WGの7人のメンバーも同じ思いだろう。

今回から「Ideate」のプロセスに入った。ideateという単語は辞書には出てこない。ideaの派生語であることは間違いない。語感から「商品のアイディアの具体化」くらいの意味だろうと見当をつけている。しかし,商品企画・開発の中核をなす重要なプロセスだ。

今回苦労した翻訳は,例えばこんなところだ:
「Response to internal mandates established by owners, top management plans, unit management plans, via product innovation gaps or acquisition gaps.」

これは相当な難物だ。元々の英語も良いとは言えないようだ。原文を書いた人も英語のネイティブ・スピーカーではないらしく,部分部分によって巧拙があり,すんなり伝わらないところも多い。
だが,「原文が悪い」といっても先に進まない。原文の伝えたいであろう意図を読み解き,飛び離れた意訳にならない範囲でなるべく自然な日本語を当てる努力をするしかない。

まず,「owners」「top management plans」「unit management plans」の三者が並列かどうかで議論になる。plansとunitの間のカンマがandならばまだ普通の英語と言えるのだが…。ともかくここは意味的には並列ということにする。
次のviaも唐突感があり,「product innovation gaps」や「acquisition gaps」が前段とどう結びつくのか,理解しがたい。
結局メンバーの知恵を集結して「製品イノベーションギャップや買収ギャップを経由して,オーナーやトップマネージメント計画,部門マネージメント計画によって設定された社内的な要求に対する対応」という訳にたどり着くのだ。ここまでに30分近くかかる。

まあ,苦労しつつもこのようなWGでのチームワークがなくては翻訳の努力が続かないし,他の人の発想によって自分の誤りに気づいたり,理解が深まったりすることもない。

このようにして将来完成するであろうPLCORの日本語訳がどのように受け取られるか,不安でもある。しかし,英語のまま放っておいてもPLCORを自分のものにしたとは言えないと思う。潔く日本語を当てる作業を行って初めて,これを作った欧米人と我々の考えていることのギャップの大きさを知る事ができ,また学ぶことも大きいと思うのだ。

「PLCOR 理解・翻訳WG」の活動趣意書はこちら

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